私の仕事も終わりを迎え,年内に今の仕事を終えるため,新たな仕事はお断りしています。
司法書士の仕事の8,9割は不動産及び商業・法人登記ですが,このほかに簡裁訴訟代理や裁判所の書類作成業務もあります。
前回は,外国にいる人が相続登記に関わる場合の意思表示について書きましたが,最近私が手掛けた事案で相続に関連する事案を紹介します。
特別代理人
社会の高齢化が進み,相続人の中に高齢で認知症などで施設入所中の人がいる場合にどうすればいいでしょう。
このような方のために「成年後見制度」があり,家庭裁判所に後見人を定めてもらう制度があります。
配偶者が亡くなり,相続人の一人が被後見人で,その後見人も相続人の一人という場合,後見人は被後見人の法定代理人として遺産分割をすることはできません。これは双方の利害が衝突するからで,これを利益相反行為と言います。
このような場合,家庭裁判所に申し立てて,被後見人のために特別代理人を選任してもらい,特別代理人が法定代理人として遺産分割協議に加わります。
私が特別代理人となったのはお母さんの後見人がその子で,ほかに相続人が一人という事案でした。
後見人となる子が成年後見の申し立てをし,そののちに私を特別代理人に選任してもらう申し立てをしたのですが,その際,遺産分割案を裁判所に提出しています。
その後裁判所から,私宛に遺産分割案と特別代理人受諾の照会書が届き,裁判所の選任を受けて特別代理人として遺産分割,相続登記ということになります。
登記に当たっては,私が被後見人に代わって遺産分割協議をするので裁判所の選任書,被後見人が取得する相続登記は後見人が法定代理人ですから,それを証する書面として後見登記事項証明書(法務局戸籍課)を提出ことになります。
と,まあこのようになるのですが,後見人の権限を証する書面は何か?と考え,通常の裁判所の手続きであれば,破産管財人でも不在者財産管理人でも裁判所から選任の証明書が出るのだからと思いましたが,頭をよぎったのが,かつて成年後見制度ができ,法務局で後見登記をするのだということを思い出しました。

そして辿り着いたのが法務局戸籍課での登記事項証明書取得でした。
そのようにして,先月,財産家の相続登記が完了しました。
今日は大雪注意報が出ています。寒い中を,最終局面の仕事結果の一つをお届けに参ります。